PRコーナー 2009

無断転載を禁ずる。


こういうページを書くのはやめるつもりだったのに、どうやらぼくは雑記帳にモノを書くのが基本的に好きらしい。結局こんなコーナーになってしまいました。でもこのコーナーは以前のものと異なり、単なるPRコーナーにする予定(のつもりがすでにケンカを売るコーナーになっているような気がしないでも)。

 

更新はあまりしないつもりですので、毎日のぞいてみるなんてことしないように。そんなヒマがあったら勉強しなさい。

一応、想定する読者は社会科学系の大学院生ですが、それもトピックによって変わることでしょう。(2003.2.13)

例によって緑字は本音。


11月30日

Econometric Society の council memberに選出されました。極東地域とはいえ、(言葉の元の意味で)有り難く名誉なことですが、先輩のMさんは「おめでとう??」というメールをくれました。(??がやや心配です。)

「仕分け」ではあおりをくっています。投資を減らしてバラマキをするのがはやりらしいので、自分への投資にシフトすることにしました。(論文書こうっと。推薦状(8名、のべ60数校分)はちゃんと書きます。)

29日(日)の論考を終えて、「経済論壇から」もあと4回です。


11月13日

最近、東大医科研の上(かみ)研究室の児玉有子氏を中心とする研究に参画する形でこういう研究にも手を出しています。先週末はシンポジウムにも参加し、この研究の一端を経済問題として紹介してきました。慢性疾病の患者と障害者が抱える経済問題にはかなりの共通点があります。社会的障害という意味では同根でしょう。


10月28日

25日(日)の論考を終えて、「経済論壇から」がついに半年を切りました。あと5回、いよいよカウントダウンです。


4月7日

気がついたら、新年度になっておりました。昨年度は(も)、いろいろなことがありました。(このページの更新は1回のみでしたが)

以下、2008年度の後半のみ

9月、大学院改革支援プログラムの取組代表者(要は雑用係)として申請していたお金がとれちゃいました。(READ(学術創成)のマネジメントでひぃひぃ言っていたのに、仕事量増量!)

11月にEconometric SocietyFellowに選出されました。尊敬する先達が集う場の末席に連なれたことがうれしいです。(他の賞のときは何も言わなかった先輩のMさんが「おめでとう!」と乾杯してくれたのが印象的でした)国内では退官された方々を含めても15名程度。うち東大現役教員は7名と強いです。

11月30日の日経経済論壇では「医療格差」の問題をとりあげました。医師会三分の計という過激な正論を述べている虎の門病院泌尿器科部長の小松秀樹氏の論考も取り上げました。その後、わたしの医科研(!)での障害と経済に関する発表にわざわざお越しいただき、医療改革について貴重なご意見もいただきました。障害のある方が抱える問題と長期疾病者が抱える問題は、さまざまな面で似ています。これを「障害者手帳」という形で切り分けることが本当に望ましいかどうか、わたしには疑問です。それにしても、医療改革の必要性を考えておられる方々の熱意には頭が下がります。目の前の患者さんと向き合い、患者会と連携しながら問題解決の具体的な方策を練るとともに、医療の枠組の問題も同時に議論する。並大抵のことではできません。(わたしも、もう少し障害者雇用、がんばらねばな)

12月、In-Koo Cho氏との論文完成!(長い道のりだった。。。)

12月21日の三鷹シニアカップ決勝では、ボランチ(!)として出場、実情はMFの守備網のスイーパー的な役割でしたが、強風の中、3−0と快勝し、二連覇を達成しました。(いやあ、よく動かされた。歳の割に、だけど)

3月、ようやく懸案事項だった障害者の統計調査のパイロット調査を行いました。本当にみなさまのご協力に感謝しております。現在、統計チームで本調査に向けて、鋭意準備しています。

3月、朝日新聞で中谷巌氏の「転向」の話が取り上げられ、わたしのコメントも載りました。その後、この記事を読んだ同僚の澤田さんから下記のコメントをいただきました。核心をついていると思うので、澤田さんの了承を得て、こちらに転載させていただきます。

 

***以下澤田さんのコメント***

1950年〜60年ぐらいの、(狭い意味での)新古典派経済学理論を持ち出して、「経済学=市場万能主義」という前提から、経済学は役立たないと批判する「手法」が確立しているように思います。最近の有名どころでは藤原雅彦氏の「国家の品格」がそうでした。「市場万能主義を標榜する経済学へのノーベル賞は廃止すべき」と言っていたと記憶しています。市場が機能しないことを精緻に議論してノーベル賞を受賞した、ジョージ・アカロフ教授、ジョゼフ・スティグリッツ教授の研究は一体どうなるんだろうと疑問に思いました。昨年のノーベル賞受賞のポール・クルーグマン教授も、市場機能が不完全なので政府が戦略的に貿易政策を行う動機が生じたり、都市と地方の格差・先進国と途上国の格差が広がったりすることを理路整然と示したのです。

 

「経済学批判の手法」を用いた人物としては、私の研究分野の開発経済学でも、ノーベル平和賞を受賞した、グラミン銀行のムハマドユヌス教授(元経済学者)もそうでした。東大経済学部での講演でも「経済学が無用の長物なので経済学者をやめました」といっています<http://www.e.u-tokyo.ac.jp/cemano/research/FELS/documents/J_Ynus.pdf>。しかし、皮肉なことにグラミン銀行が成功したメカニズムは、市場が不完全にしか機能しないことを前提にしたスティグリッツ教授らの経済学の理論で明らかにされています。

 

結局、「ナイーブな経済学を持ち出して経済学を無用の長物と読んだり、犯罪者扱いする」ことは、経済学以外の学者を含め、多くの人にとって都合が良いのでそうなっていると思います。厄介なのは「一般人からは主流派経済学者と思われいる」中谷氏のような人物が経済学を批判すると、それに対する反論がきつくなってしまうと言うことですね。「より新しい成果を知っている若い研究者が世間に対して積極的に発言し、誤解を解いていくべき」と思われるかもしれません。しかし、経済学研究者としてまさに研究にいそしむべき年代の人たちにそういった役割を求めるのは酷でしょう。従って、中谷氏のようないわば無責任な発言はこういう側面から見ても深刻な問題を孕んでいるとおもいます。

 

こういった本を書いている本人にとっては売り上げが上がったりして良いのでしょうが、長い目で見た「より良い社会の実現」にとっては負の遺産になると思います。

***澤田さんのコメント、ここまで***

 

毎月(原則、各月の最終日曜日)、日経「経済論壇から」(ずっしりと頭の上の乗っている重石のようです。あと最長で一年だけやります。早く、後任を探してくれないかな)

 


2008年のもの